アルバートは走ります、走らなければ今日の汽車には間に合いません
しかしアルバートは歳をとりすぎていたためにどんどんとスピードが落ちていきます
そのうちにメイドのメアリ・アンに追いつかれてしまいました
メアリアンは、蝶の羽をもった小さな妖精でした、まるで子供の様な外見(そもそも大きさは子供より小さいですが)をしていましたが、しっかりしていて、良く働くメイドでした
アルバートはメアリ・アンが自分の側に来ているのに気付きました
「あぁ!メアリ・アン、すまない、紹介状なら寝室の棚に置いてあるはずだ、数十年前に書いた物だが全員分あるだろう」
メアリ・アンは答えます、いたって落ち着いた様子でした
「ご主人様、私は貴方に今まで仕えてきた身です、今更やめろとおっしゃられても。それが例え命令でも聞くことは出来ません」
しかしアルバートは走りながら言います
「このたびは、一度いっては帰れない旅。メアリアン、君はずっと長生きなのだから一緒にきちゃいけない、もう戻れなくなる」
このあとそういった受け答えが何度も何度も続きます
結局二人が汽車に乗り込む頃にはアルバートはメアリアンの強い決意に負けていました